世界遺産の植物園『オルト・ボタニコ』

パドヴァの植物園 パドヴァ

オルト・ボタニコは、1997年にユネスコ世界遺産に登録された、研究を主な目的とされた世界最古の大学付属の植物園です。1545年ヴェネツィア共和国議会の決議により、パドヴァ大学付属の植物園として開園しました。
当時から、薬草研究のため、多くの植物が植えられ、それまでの薬草医学の間違った認識などを改め、薬学の飛躍的な進歩にも貢献したといわれています。海洋貿易により富を得た、ヴェネツィア共和国下という地位性を生かし、国外の植物を同園に持ち込んだことも、同学問及び動植物園が躍進した要因でもありました。

同園の建築は、ベルガモ出身の建築家アンドレア・モローニによるものです。園内は、円形を基調に、内接する正方形が四分割に配置されています。”クアルティ”または”スパルティ”(区域・区画を示す言葉)と呼ばれるそれらの4区画は、7㎝の段差を用いて歩道と区別され、各中心には小さな噴水が設置されており、全体に美しい幾何学的な模様を形成しています。
さらに1552年には、その周囲を壁で覆うこととなるりましたが、それは、同園に植栽された植物は珍品で高価なものであったこともあり、夜間の盗難などの被害に度々あうことへの対策でした。その後、植物の増殖や改修なども積極的に行われてはいますが、当時の原型をほとんど損なうことなく、現存に至っています。

園内に残る最も古い植物は1585年に植栽されたヤシの木。詩人で自然科学者でもあるゲーテは、1786年9月27日、パドヴァに立ち寄った際に同園を訪れ、このヤシの木の下にて彼独自の自然観を得、その後彼の著書「イタリア紀行」に反映したとして知られています。約11mの高さのこの不朽の木は、それ故『ゲーテの木』と呼称され、現在ガラスで覆い保護されています。その他、1750年植栽のイチョウやタイサンボクなどは、ヨーロッパ最古のものだとされています。

園の壁の外側につくられた”モンタニョーラ”と呼ばれる小丘にも、研究目的の植木が盛んに施されています。ここはカーブのついた細道があしらわれ、ちょっとした英国庭園風な造り。1680年植木のプラタナス(スズカケノキ)や1828年のヒマラヤスギなどが、その中でも古いものとされています。これらはイタリア国内に持ち込まれた植物として最古とはいえないまでも、初期のものであることは間違いないようです。

他、同園と世界各国とのネットワークによって、植物及び種での交流があり、中にはイタリアにおいて初めて同園で植栽され、気候馴化されて国内へ流布したものもあります。ジャスミン、フリージアなどはその一例。同様に、食用植物等に関してもここを起点にしたものもあり、ヒマワリ、ゴマ、ジャガイモなどはその代表的なものとして知られています。

近年、同敷地内に新しい施設がオープンしています。世界じゅうの各気候に合わせた植物の展示、子供達への自然学習の場の設置など、大学付属施設として、新たな見所となっています。

パドヴァの植物園の基本情報

名称 Orto botanico(パドヴァの植物園)
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住所 Via Orto Botanico, 15, 35123 パドヴァ
行き方 Prato della Valleから東へ徒歩5分
サンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂から南へ徒歩3分
電話番号 +39 0498273939
休館日 月曜日
開館時間 6月1日-9月30日 9.00-19.00(月曜休み)
10月1日-10月31日 9.00-18.00(月曜休み)
11月1日-3月31日 9.00-17.00(月曜休み)
4月1日-5月30日 9.00-19.00(休館日なし、月曜も開園)
入館料 10ユーロ
その他
サイト http://www.ortobotanicopd.it/
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