ミラノから訪ねる、パヴィア修道院「青き聖堂」の見どころ、開館時間・入館方法

ミラノ パヴィア修道院 ミラノ
パヴィア修道院の正面ファザード。正面の右側はヴィスコンティ家の歴史が表されています。
ミラノ

「青き聖堂」パヴィア修道院

ミラノから南に約20キロ。この辺りは肥沃なロンバルディア平原を縫うようにしてできたポー川が流れ、豊かな水源に恵まれた田園地域が広がっています。パヴィアの北8キロに位置するところに自然に囲まれた「青き聖堂」パヴィア修道院(Certosa Di Pavia)があります。

俗世間から孤立した島のように浮かびあがるこのパヴィア修道院は建造物としての芸術的美しさ、歴史的価値、そして厳粛な戒律を守り続ける修道士たちによって世界5大修道院のひとつとして知られています。

中世時代にミラノを統治していたヴィスコンティ家とスフォルツェスコ家の菩提院を目的とし、ヴィスコンティ家の公園と、パヴィア城の一部であった土地に修道院が建築され始めたのは1396年に遡ります。建設を命じた当時の王、ジャン・ガレアツッオ・ヴィスコンティ(Gian Galeazzo Visconti 1347-1402)は祭壇の右側に、左側にはルゥドリコ・マリア・スフォルツァ(1452-1508)とその妃が祭られています。

Milano Certosa Di Pavia
修道院入口広場

ロンバルディア・ゴシック建築の代表作

前期ルネッサンスのロンバルディア・ゴシック建築を代表する作品として名高く知られているこの修道院の建築は当時有名であった多くの建築家の合作とされています。建築の主要期間は2つの時期に別れ、前半の1453-1481年、回廊やアーチ、小ドームは主にジュニフォルテ・ソラーリ (Guiniforte Solari 1429-1481)によって設計、建築されました。後半期間の1481-1499年の間には当時もっとも偉大な建築家であり、ルネッサンスを代表する建築家のひとりでもあるジョバンニ・アントニオ・アマデオ(Giovanni Antonio Amadeo 1447-1522)によって引き継がれ、1507年に完成しました。どちらの建築家もミラノの大聖堂の建築に多く関わっているため、この修道院はどことなくミラノ大聖堂に似ているとも言われています。

教会内部にはイタリア・ルネッサンスを代表する画家ヴィンチェンツォ・フォッパ(1427-1515)やアンブロージョ・ダ・フォッサノ (Ambrogio da fossano-Bergognone 1453-1523)の壁画が描かれています。天井部分は何百年と受け継がれた厳しい戒律を守り続ける修道士たちの祈りが空に舞い上がり、神秘的な色に染め上げたような奥深い青が広がり、清らかな天空を流れる壮大な宇宙の記憶を感じさせます。

Milano Certosa Di Pavia
教会内部もたいへん荘厳です。

沈黙と静寂の世界

「青き聖堂」パヴィア修道院に暮らす修道士たちは、現在でも自給自足を営み、偉大なる「沈黙と静寂」を基にした戒律を守りながら神々へ回帰する静かな生活を送っています。教会内部には500年にわたる静寂と祈りが結晶化されたような独特の匂いを感じることができ、その神秘的な空気はまるで時間が止まったかのような雰囲気です。

14世紀から建築が始まったこの修道院ですが、少しずつ修道士たちが手直しを繰り返し最終的に完成したのは18世紀になってからという説もあります。

ナポレオン軍の侵入により、一時的にダメージを受けた修道院は1810年より閉鎖を余儀なくされていた時期もありましたが、その後1866年にイタリアの国定建築物に指定されたことをきっかけに修道院は再建されました。
ファシズム時代には1932年に党首のムッソリーニもここを訪れたとされています。

Milano Certosa Di Pavia
教会内の小回廊

拝観注意事項

この修道院は教会部分と修道士たちが暮らす「僧房」の2つに大きく分かれています。教会の入り口、そして内部は自由に見学可能ですが、祭壇と僧房に繋がる回廊、そして僧房を見学するには必ず修道士のガイドに付き添わなくてはいけません。祭壇前にある門のところで待っているとやがて修道士がやってきて門を開けてくれます。予約などはないので時間には余裕を持って訪れたいところです。

ガイドはイタリア語での説明ですが、修道士がグループごとに説明をしてくれます。修道士に付き添いながら見学をすることになりますが、各所の説明が終わると修道士が短いお祈りを捧げてくれます。

大回廊は125メートル×100メートル、立ち並ぶ柱は122本とされています。すべての柱にはそれぞれ神々の彫刻が並び、この敷地のなかで修道士たちが静かに祈りをささげながら生活している雰囲気を拝見することができます。1514年当時は36あったと言われる修道士たちの僧房は現在では24とされ、部屋にも案内してもらえるので修道士たちの暮らしを垣間見ることができます。祝日にのみ修道士たちに使用が許される「食堂」には、オタヴィオ・セミノ作の「最後の晩餐」が描かれています。

祭壇、回廊、大回廊、僧房を30-40分ほどで見学(時間はグループの人数にもよるようです)。最後に案内をしてくれた修道士にお礼の意味で寸志を渡すことになりますが、1人5~10ユーロほどが相場のようです。

出口付近には小さなお店があり、そこで修道士たちが作ったリキュールやハチミツ、ポストカード、キーホルダーなども購入することができます。また2008年から教会の横に美術館が開設され、こちらには彫刻や絵画などが展示されています。

非常に戒律の厳しい修道院なので静かに見学しましょう。サンダルや肌の露出の多い服装、帽子着用では入場できないので気をつけください。

それほど大きくはありませんが、わたしが訪れたイタリアの教会の中でも一番神秘的で美しいと思える教会でした。(2019年11月)

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「パヴィア修道院」駅

パヴィア修道院の基本情報

名称 Certosa di Pavia(パヴィア修道院)
おすすめ
住所 Via del Monumento, 4, 27012 Certosa di Pavia
行き方
  • ミラノの各主要駅よりローカル線にて「パヴィア修道院(Certosa Di Pavia)」駅まで。下車後徒歩約20分。電車の所要時間30分~1時間ほど。あまり本数もなくパヴィア乗り換えの場合もあるので必ずイタリア国鉄サイトにて乗車駅を確認してください。
  • ミラノ地下鉄M2のファマゴスタ駅(Famagosta)よりパヴィア行きバス。最寄り停留所下車後徒歩約10分。
電話番号 +39 0382 925613
休館日 月曜日
開館時間 9:00-11:30 (11~2月は11:00)
お昼休み11:30-14:30(入場できません)
14:30-
11~2月16:30まで/3,10月17:00まで/4,9月~17:30まで/ 5~8月18:00まで
入場は閉館の30分前まで
入館料
その他
サイト
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