坂を登りきったご褒美
アレッツォは坂の多い街ですが、その一番高いところに位置するのが大聖堂(ドゥオーモ)です。16世紀初めに完成したゴシック様式のシンプルな教会ですが、周囲を囲む石の階段や正面玄関の飾りが街で最も重要な教会の荘厳さを与えています。
まずは正面祭壇を見学しよう
中に入ると正面奥のカラフルなステンドグラスとアーチ状の天井に描かれたフレスコ画が迎えてくれます。祭壇の石棺は真っ白な大理石にイエスを抱く聖マリアやアレッツォの守護聖人、聖ドナート(S.Donato)などが彫刻されています。また祭壇左手には13世紀に旅行中アレッツォで亡くなったローマ法王グレゴリオ10世の棺があり、床のガラスからは当時のアレッツォ司教の棺が覗けます。そのすぐ近くの柱にはピエロ・デッラ・フランチェスカが1459年頃に描いたマグダラのマリアのフレスコ画があって、そちらも見逃せません。
聖母の礼拝堂も忘れずに
入り口左手の鉄の柵の中には慰めの聖母の礼拝堂(Cappella della Madonna del Conforto)があり、祈りを捧げる信者の姿が常に絶えません。祭壇には小さな聖母マリアの肖像が飾られていて、伝説によると元々は黒かった像が1796年2月15日にアレッツォで大きな地震があった際に市民を慰めるために白くなったと言われています。
丸天井(cupola)はキリストの生涯の様々な場面のフレスコ画が描かれています。また、祭壇の左右の壁はアンドレア・デッラ・ロッビア(Andrea della Robbia)によるテラコッタ(陶器)の作品に覆われていて、陶器の滑らかな白とデッラ・ロッビア社の特徴である青・緑・黄色との調和が美しいですね。デッラ・ロッビア家は、創始者のルカが15世紀にフィレンツェに工房を構え、大理石に比べると安価で作りやすいというテラコッタの長所を生かしつつ、壊れやすく長持ちしないという欠点を克服する新しい技術を開発しました。甥のアンドレアはさらに改善を重ね作品の普及に貢献したと言われています。
聖フランチェスコ教会ほどの知名度はないですが、入館料もありませんので、アレッツォに来たらぜひ中に入ってみてください。シンプルながら立派な教会です。毎日開いていますが、12時30分から15時まではお昼休みで閉まるので要注意です。
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アレッツォ大聖堂の基本情報
名称 | Duomo - Cattedrale dei Santi Pietro e Donato(アレッツォ大聖堂) |
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おすすめ | |
住所 | Piazza Del Duomo, 1, 52100 アレッツォ |
行き方 | アレッツォ国鉄駅からまっすぐ徒歩14分。町の一番奥にあります。 |
電話番号 | +39 0575 23991 |
休館日 | 無休 |
開館時間 | 月曜日~日曜日 7:00-12:30 / 15:00-18:30 |
入館料 | 無料 |
その他 | |
サイト |
アレッツォ大聖堂の見どころ
有名なのはピエロ・デッラ・フランチェスカの「マグダラのマリア像」ですが、個人的には慰めのマリア礼拝堂の両脇のアンドレア・デッラ・ロッビアの作品が好きです。陶器のつるりとした感じと額縁のように周りを囲むレモンの木の装飾がきれいです。アレッツォ在住:松若 朋恵 スタッフ一覧