ローマに来たら必ず訪れたい場所
ローマに来たら、トレビの泉は必ず訪れたい場所のうちの一つでしょう。古代のウィルゴ水道の終点にあるこの泉は、1700年代半ばにコンテストで優勝したニコラ・サルヴィが設計したもの。フェリーニの映画「甘い生活 La Dolce Vita(DVD)」の中でアニタ・エバーグが演じたシーンで有名になったように、泉に背を向けてコインを1枚投げると再びローマに来られるという伝説があります。古代ローマにはかつて212個の泉があり、残っている現代の噴水には動きのある演出に特徴づけられるバロック様式のものが多く、この泉もその一つです。
コインを投げる数によって願いが異なる
有名なコイン投げの由来についてはあまり語られていないのですが、昔から大小たくさんの噴水があるローマで、噴水にむかってコインを投げること自体が神聖なる行為で、そこに祭られた神の気を鎮めるとされていた風習に由来すると言われています。現代では、1枚投げればまたローマに来られる、2枚だと好きな人と一生一緒にいられる、3枚だと嫌いな夫や妻と別れられる、というおまじないになっています。ローマ自治体によると、投げ入れられたコインはすべて回収されチャリティーに寄付されます。
泉にまつわる様々な逸話あり
トレビの泉にはコインの伝説以外にもめずらしい逸話が残されています。それは、かつてこの泉の水が石灰を含まずローマで一番おいしい水と言われ、汲みだして飲み水にされていた頃、女の子たちは戦に出かける恋人に離れている間の誠実さの証としてコップにこの水を汲んで飲ませ、その後そのコップを割って未来の幸福への願掛けをしていたそう。それがもとで今では泉の右側にある小さな水飲み場で恋人や夫婦で水を飲むと永遠に別れないと言われています。この水は別名L’acqua dell’amore(愛の水)と言われています。
サルヴィが置いた壺「Asso di Coppe」
あまり知られていない逸話が他にもあります。泉の右側の壁に”Asso di Coppe”と呼ばれる、イタリアの伝統的なカードゲームの絵柄とそっくりな壺の彫刻が置かれていますが、これは設計者のサルヴィが泉の製作中に隣の床屋に通っていた頃、店主が泉の建築についてやかましく口出しをし続けたため、とうとうこの店から泉への視界を妨げるようにおいてしまったものだそう。その床屋は今はここにはありませんが、この壺の前に立ってちょうど泉の彫刻が見えなくなる位置を確かめれば、その後ろにはかつてはサルヴィが通った床屋があったのでしょう。
トレビの泉はサルヴィの設計によるブラッチの作品
コンテストで優勝してトレヴィの泉の製作権を勝ち取ったサルヴィでしたが、身体が弱く病気がちだったことで実行が難しく、ようやく泉の土台が完成した時点で残念ながら死去してしまいました。製作は中止され現場は土台だけのまま放置されましたが、数年後に友人らによって再開され、最終的にはピエトロ・ブラッチにゆだねられ1762年に完成しました。よって、トレビの泉はサルヴィの設計によるブラッチの作品と言えるでしょう。この巨大な泉の夜の顔はまた違います。ライトアップされてブルーに光るロマンチックなトレビの泉もまたとても素敵です。
トレビの泉の基本情報
名称 | Fontana di Trevi(トレビの泉) |
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おすすめ | |
住所 | Piazza di Trevi, 00187 ローマ |
行き方 | 地下鉄A線Barberini駅下車。徒歩約15分 |
その他 |
スタッフ ローマ必見スポットです
ローマに無数にある噴水のうちで大きさは最大、偉大さではナヴォーナ広場の3つの噴水にひけをとらないのがトレビの泉。ローマの特徴である真っ青な青空の下で大理石の間を流れ落ちる水は、歴史的で重々しい街の雰囲気を和らげ、またそこに風格をつけ加えます。位置的に大通りから奥まったところにあり、小道から視界が開けたかと思うと巨大な彫刻と豊富な水をたたえる泉が目前に現れます。その素晴らしさは予想を十分に上回るでしょう。イタリア在住:堂 剛 スタッフ一覧