世界的に重要なエジプトコレクション
トリノのエジプト博物館は1824年に創設された。ナポレオン・ボナパルトのエジプト遠征・美術収集に同行していたベルナルディーノ・ドロヴェッティが、当時のサヴォイ王に送った5,268点が始まり。現在、同博物館は33,000点を所蔵、6,500点ほどを展示している。
古代エジプトの遺産をこれだけの規模で所蔵しているのは、当地カイロ博物館についで、トリノが世界2番目なのである!
トリノのエジプト博物館のコレクションは、所蔵数もさることながら、品質の高さでも群をぬく。日本でも公開された「トトメス3世のシリア遠征パピルス」に代表されるヒエログリフの書簡、悲劇の少年王ツタンカーメンや、強大な権力を誇ったラムセス2世のコレクションはひときわ重要度が高い。エジプト史4,000年をほぼ全域カバーした所蔵品を一般人が気軽に楽しめる点でも、非常に評価されている。
古代エジプト文字、ヒエログリフの解読に初めて成功したシャンポリオンは、トリノに滞在してヒエログリフの研究をしたことでも知られている。彼が、当博物館のエジプトコレクションの重要性を評して「メンフィスとテーベへの道はトリノを通過している」と述べているのは有名な逸話だ。
エジプト博物館の展示品概要
博物館は地下一階から二階まで3フロアに分かれている。
一階は古代エジプト史4,000年を時代別に展示、二階はテーマ別の展示、地下一階はアスワン・ハイダム建設で湖の底に沈む運命となった神殿の一つが移築されている。
- 一階のみどころ
- 彫像ギャラリー トトメス王三世、アメンホテプ二世、ツタンカーメン、ラムセス二世等の貴重な彫像が並ぶ。トリノ・エジプト博物館で最も印象深いギャラリーがここ。
- 埋葬品 (ギャラリーII)葬礼儀式ー死後の世界への旅立ちと、永遠の家となる墓に埋葬された品々。1906年にほぼ完全な形で発見されたカーとメリット夫妻の墓(新王朝時代)と504点の副葬品。
- 二階のみどころ
- 名も亡き者たちの墓 (ギャラリーIII) 展示品は古代王国ピラミッドの時代にさかのぼる。最も保存状態のよいミイラは一番大きな石櫃の中にある(158cm)。
- 布製品 (ギャラリーIV) サンダルなどの布製品、紡織用具など
- 文書 (ギャラリーV)ヒエログリフ、神官文字、民衆文字、コプト文字が一室に展示される。陶器の破片や石灰岩はメモや習作に多用されたそう。
- アレクサンダー大王、プトレマイオス朝時代 (ギャラリーVI)ギリシャの影響がみられる
- 神々と魔法 (ギャラリーVII)ミイラの守護神アヌビス、オシリス、ホルス、バステトの4神のついたカノボス容器(ミイラ作りの際に取出した内蔵を納めた)の展示。ミイラにされた魚、猫、クロコダイルやサルなどは当時の信仰を伝える。魔法の杖「ヘカ杖」も。
- ローマ・コプティク時代(ギャラリーVIII)ローマ帝国の支配下のエジプト。2世紀ごろにキリスト教が彫刻や絵画の様相を一変させる。
- 地下一階
- アスワン・ハイダム建設で湖の底に沈む運命となった神殿
エジプト博物館の基本情報
名称 | Museo Egizio(エジプト博物館) |
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おすすめ | |
住所 | Via Accademia delle Scienze, 6, 10123 トリノ |
行き方 | 電車または地下鉄にてトリノ・ポルタヌオーヴァ駅まで。そこから徒歩10分程度。 ポルタ・スーザ駅よりバス55、56、72 またはトラム13 高速道路 トリノ北(Torino Nord) かトリノ南(Torino Sud) 出口から、トリノ市内方向へ。 |
電話番号 | +39 0114406903 |
休館日 | 12月25日のみ |
開館時間 | 8:30-19:30 (最終入館時間18:30) |
入館料 | €3.5-€7.5 |
その他 | 正規 7.50Euro 割引 3.50Euro (対象: 18-25歳まで、引率教諭、障害者の付添い) 18歳未満と65歳以上は無料 オーディオガイド 伊、英、仏、西、独語。料金は4Euro |
サイト | https://museoegizio.it/ |
大人も子供も楽しめます
エジプト博物館は、メイン・ストリートのローマ通りから1本入ったところにあります。ロッカー(小)があるので、荷物を預けられて便利。一階彫像ギャラリーは、映画「アビエーター」でアカデミー賞を受賞した美術監督ダンテ・フェレッティ監修によるもの。鏡と照明を駆使したこのギャラリーの演出は圧巻です。見学所要時間は、2時間程度。子供も楽しめます。イタリア在住:堂 剛 スタッフ一覧