トリノの食文化はフランス譲り
16世紀、フランス出身のサヴォイア王家がトリノに首都を構えた際に、当時ちょうど花開いたばかりのフランス宮廷料理をもちこみ、トリノ周辺ピエモンテ州の旬の食材をもちいて宮廷料理の調理法で作りあげたのが、トリノとピエモンテ料理の原型。
赤いソースとシンプルな調理法が真っ先に思い浮かぶ一般的イタリア料理とは、雰囲気も味も一線を画す。バターやラードを使い、複雑なレシピのソースをかけるのが特徴のピエモンテ地方。それだけ聞いても、フレンチを思わせませんか?
これだけは外せない!
- アンティパスト
- バーニャ・カウダ(bagna caoda)
野菜、とくにピーマンをアンチョビ、オリーブ、ガーリックをまぜたソースでいただく。 - ヴィテッロ・トンナート(vitello tonnato)
スープで煮込んだ子牛肉の薄切りに、ケイパーの入ったマヨネーズ和えのツナがのっている。冷菜。
- バーニャ・カウダ(bagna caoda)
- プリモ・ピアット
- アニョロッティ・ダル・プリン(agnolotti dal plin)
ローズマリー風味の牛豚肉の詰め物をしたパスタ。スープで煮込み、おろしたてのパルメザンチーズをかけて。 - ニョッキ・アル・カステルマーニョ(gnocchi al castelmagno),
ジャガイモのニョッキに濃厚なカステルマーニョ・チーズのクリームソースをからめたもの。 - リゾット・アル・バローロ(Risotto al barolo)
赤ワインの王、バローロの風味を生かしながら、ピエモンテ名産のお米をスープで炊いてリゾットにした。
- アニョロッティ・ダル・プリン(agnolotti dal plin)
- セコンド・ピアット
- フリット・ミスト(fritto misto)
肉類、野菜、果物に加えてお菓子まで揚げ物にしてしまうのが、ピエモンテのフリット。肉類では日本ではお目にかかれない子羊の脳のフライも? - ボッリート・ミスト(bollito misoto)
さまざまな部位の牛肉(テール、タン)、鶏肉を煮込んだもの。ポトフのイメージ。パセリの効いたソースで。 - ブラザート・アル・バローロ(brasato al barolo)
牛肉のいちばん柔らかい部分を名産赤ワインの入ったスープにつけ込んで煮込む。薄切りにしたものをいただく。 - メルルッツォ・アル・ヴェルデ(Merluzzo al verde)
香ばしく焼いた鱈の切り身、ほうれん草とパセリのソースを添えて - フォンドゥータ(fonduta)
とろけるフォンティーナ・チーズをミルクで融いたチーズ・フォンデュ。糸を引くチーズをパンにつけて。
- フリット・ミスト(fritto misto)
- ドルチェ
- ブネ(bone’t)
チョコレートプディングに砕いたアマレッティ・クッキーが入る。ラムの香り。 - トルタ・ディ・ノッチョーレ(torta di nocciole)
名産ヘーゼルナッツ入りの香りも高いチョコレートケーキ。
- ブネ(bone’t)
トリュフ (Tarfutti)
ピエモンテ地方のアルバという地域で穫れたトリュフは、至高の食材として有名。
秋には世界中からシェフが買い付けにやってきます(トリュフ・フェスティバルが毎年10月、ピエモンテ州アルバにて開催)。
ワイン (Vini)
ピエモンテといえば、真っ先にワインが思い浮かぶワイン通の方も?
ランゲ地域の丘陵地帯で日差しを一杯浴びて育ったブドウが、世界最高水準のバローロ、その名も「ワインの中の王、王のワイン」と呼ばれる赤ワインを作り出します。バローロと比肩するバルバレスコも長期保存にむいています。同じく赤ワインのバルベーラはアスティ産のものを選ぶと間違いがありません。アスティといえば、甘くて白い発泡ワインも。
【おいしいワイン】
赤:バローロ、バルバレスコ、ドルチェット・ダルバ、バルベーラ・ダスティ
発泡ワイン:アスティ・スプマンテ
チーズ (Formaggi)
また、ピエモンテ地方は様々なチーズを生産することでも有名。
そのままでは食べられそうもない匂いの強いチーズに、蜂蜜をつけて食べた時、そしてそれとワインがマッチしたときの天にも昇る感覚といったら・・・
【おいしいチーズ】
カステルマーニョ(Castelmagno), トーマ(Toma),フォンティーナ(Fontina)、ブラ(Bra)
トリノ発祥、そして世界へ
トリノ発祥といえば、スティック状のパン、グリッシーニ(Grissini)。レストランやトラットリアでバンと同じ籠に盛られて出てきます。スーパーマーケットやパン屋さんでも購入可。グリッシーニには有名な逸話があって、かのナポレオン・ボナパルトが「トリノのスティックパン( ‘les petites batons de Turin’ )」をパリまでわざわざ運ばせるほど愛好していたそう。
忘れてはいけないのが、チョコレート。
トリノのチョコレートは高品質、極上の美味でありながら、噂の伝播を嫌ったごくわずかの食通とシェフ、トリノ人だけを楽しませてきたという歴史上の秘密があります。知名度があがったのは、ごく最近のこと。
スイスより歴史の長い、宮廷人を満足させてきた本物のチョコレート、お一ついかがですか?チョコレートの名店を巡ることのできる「チョコパス」もあります。
美味しいものは専門店へ
ワインはエノテカ(Enoteca)、チーズや前菜やトリュフはガストロノミア(Gastronomia)、チョコレートはチョコ専門店で購入します。トリノでは高級総合食材店イータリー(Eataly)でも揃えることができます。イータリーは東京にも出店していますが、トリノが本社です。地下鉄駅のリンゴット(Lingotto)にあって、日本にいるように気軽にショッピングやテイスティング、ランチやディナーも楽しめます。イタリア在住:堂 剛 スタッフ一覧