外は神殿、中は教会のミネルヴァ神殿。風変わりですが築2000年です!
古代イタリアの先住民族の一つであるウンブリ人が作った古都アッシジ。その長い歴史を裏打ちするかのように町には歴史を感じられる様々な建築物、ストーリーがあふれています。このミネルヴァ神殿(Tempio di Minerva)もその一つで、古代ローマ帝国時代に築かれたギリシャ神殿は、自治都市(コムーネ)の名残りであるコムーネ広場にその当時の美しい姿を残しています。最高の保存状態で残されているといわれ、低めのペディメント(三角形の切妻壁)をコリント式柱頭をもつ6本の溝つき円柱と台座で支える典型的な古代ローマ建造物です。神殿は、なんと今から2000年以上前の紀元前1世紀に建てられ、今なお美しい姿を見せてくれます。興味深いのはその内部。1539年に正面の石柱をそのままに、まるで内装リフォームだけを施したかのように内側に教会が作られたのです(後の17世紀にバロック様式の教会に改修されています)。教会の名はサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会。ソプラは歌のソプラノ(最高声部)の語源となる「上」を表す言葉で、ミネルヴァの上に建てられた聖マリア教会という意味となります。
聖フランチェスコ聖堂の壁画のミネルヴァ神殿も見逃してはいけません!
アッシジの聖フランチェスコ聖堂内に、フランチェスコの生涯を描いた有名なジョットの28枚の連作壁画があります。「小鳥に説教する聖フランチェスコ」は特に有名ですが、その人生伝の最初の一枚にこのミネルヴァ神殿が描かれています。「王者の栄誉(Francesco onorato dall’uomo semplice)」という名の壁画は、まだ神の声を聞いていない若きフランチェスコ(実際にまだ富豪の息子として贅沢な洋服を身にまとっています)がミネルヴァ神殿の前を歩いていると、ある一人の男が尊敬の印として足下に布を差し出すというシーンが描かれています。よく見ると気づくと思います、この壁画のミネルヴァ宮殿にはまだ教会が入っていません。この「聖フランチェスコの生涯」は1296年から1299年頃に描かれているため、ミネルヴァ神殿の内部にはまだ教会がなく空っぽの状態なのです。
観光後はコムーネ広場で一息休憩・・・
町の中心であるコムーネ広場には、市役所や観光インフォーメーションの他に、たくさんのオープンカフェ、美味しいレストランが集まっています。アッシジは上り下りの坂の多い町です。疲れた足は無理せずに、暖かい日差しを浴びながら休憩するといいでしょう。美しい広場を眺めながら一息入れれば、元気回復間違いなしですよ!
同じサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会がローマにもある!?
実はローマにも同じ名前の「サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会」があります。ローマの教会もその名の通りミネルヴァ神殿跡に建てられたと言われ、ローマの中心、パンテオンのすぐ近くに見つけることができます。外観はとてもシンプルなのですが、このローマの教会がとても有名なのです。別名、小美術館!!!教会前広場にある「象のオベリスク」が目印です。新しいように見えるこの彫刻もベルニーニ作というのだから驚きです。
内部にはフラ・アンジェリコが描いた「聖母子像」、フィリッピーノ・リッピの壁画で埋められた「カラファ家の礼拝堂」、ミケランジェロ作の十字架を抱えた「あがないの主イエス・キリスト」像、ベルニーニの彫刻作品の数々・・・また、イタリアの二人の守護聖人の内の一人、聖カテリーナ(もう一人はアッシジの聖フランチェスコ)も眠っていますし、フラ・アンジェリコの墓もあります。アッシジとローマを旅行したら、この同じ名前を持つ教会を見比べてみて、当時の様子を思い描いてみるのも楽しいでしょう。
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サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会の基本情報
名称 | Santa Maria sopra Minerva(サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会) |
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おすすめ | |
住所 | Piazza del Comune, 14, 06081 アッシジ |
行き方 | アッシジ旧市街の中心、コムーネ広場内 |
電話番号 | +39 075812361 |
休館日 | 無休 |
開館時間 | 平日:7:15-19:00(火・金は14:00-17:15閉館) 日祝:8:15-19:00 |
入館料 | 無料 |
その他 | |
サイト |
イタリア在住者からのアドバイス
ミネルヴァ神殿のあるコムーネ広場はイタリアで有数の美しい広場と言われています。中世の雰囲気をそのまま残している貴重な広場です。バールのテラス席などに座って、その美しさをじっくりと堪能してください。もちろん写真も忘れずにね。『アッシジ&チヴィタのツアー』イタリア在住:堂 剛 スタッフ一覧