世界一美しい「カンポ広場」

世界で最も美しい広場

「世界で最も美しい広場」といわれる、シエナのカンポ広場。扇形でレンガが敷き詰められた赤茶色の広場です。シエナは町全体が3つの丘の上に広がり、カンポ広場はその真ん中に位置し、丘と丘の間の傾斜地にあることから、広場自体が緩やかにカーブしています。市庁舎の塔、マンジャの塔に登って、上からこの広場を眺めると、その全体が見渡せるのでオススメです。この町の有名な夏のお祭り“パリオ”が行われるのも、この広場です。

観光に疲れたら、ここで一息

シエナの町の細く曲がった道を中心部に向かって歩いてゆくと、突然開けたスペースが目の前にあらわれます。「まるで大きな劇場のような」と言われるカンポ広場。広場の形が半円形で、中心に向かって傾斜しており、その中心に市庁舎のプブリコ宮とマンジャの塔が立っています。
周りはだいたい同じ高さの建物にぐるっと囲まれていますので、完結した空間になっています。

広場全体が斜めに傾いているため、ここでは直接地面に座っても全然違和感がありません。天気の良い日には、座るどころか寝そべって日光浴をしている人や、そのうち気持ちがよくなって眠ってしまう人もよく見かけます。「世界一美しい広場」として知られていますが、「世界で一番くつろげる広場」でもありますね。ぜひ私たちもカンポ広場で寝そべって、イタリアの太陽を思いっきり浴びてみましょう。

イタリアの小さな町のスローライフ

ローマやフィレンツェ、ヴェネチアなどの広場を見学して、こう感じたことはありませんか。「観光客ばっかり、住民はどこにいるの?」
はるばる日本から長時間飛行機に乗ってやってきて有名観光地を巡っても、どこも観光客ばかりです。美術館や教会や有名な建物の見学も重要ですが、イタリア人の生活をチラ見てみたいと思いませんか。

もちろんカンポ広場にも旅行者がたくさんいます。ですが町の真ん中にあり、この町で唯一の大きい広場ですので、シエナの住民たちが集まるのもここ。一日中うわさ話に花が咲きます。近所のお母さんたちもベビーカーを引いてやってきて、ここで子供達を遊ばせています。この町で学ぶ学生たちが集うのもこの広場。シエナ大学の学生やイタリア語学校に通う留学生たちが、ここで皆楽しくいろいろなことを語り合っている姿が見受けられます。イタリアの小さな町の日常生活が、ここではちゃんと息づいているのです。

ガイアの泉（Fonte Gaia）

カンポ広場のガイアの泉は、丘の上の町の住民たちにとって一息つける憩いの場です。「ガイア」はイタリア語で「喜び」を意味します。中世時代、シエナの人々が地下水脈を整備してここまで水を引き、広場に水が出た時に大喜びしたことから、この名で呼ばれるようになりました。大切な泉なので1400年代初め、当時の著名な彫刻家ヤコポ・デッラ・クエルチャの素晴らしい彫刻で装飾されましたが、現在あるものはそのコピー、オリジナルは美術館に保存されています。

シエナは映画「007/慰めの報酬（2009年）」のロケ地として使われたことでも有名です。前半のシーンで、ジェームス・ボンドが敵を追っかけて地下水道を走り抜け、地上に出てきた場所がまさにこのガイアの泉です。その後彼は、さらに敵を追ってパリオの群衆の間を駆け抜けていくのですが、そのシーンのロケの日に、たまたま私もツアーのお客様たちとカンポ広場におり、私たち全員観光そっちのけで、ダニエル・クレイグさんが何度も何度も走る姿に見とれていたのを今でも覚えています。ちなみに、彼が地上に出てきたマンホールの蓋のようなものは、実際にはありません。

ところで「カンポ」って何?

カンポ広場の「カンポ」は、英語の「フィールド」にあたる言葉で、野原とか畑などを意味しています。もともとこのあたりは野原でしたが、中世時代のヨーロッパの主要街道であるフランチージェナ街道がここを通り、次第に市場が開かれるようになり、商業的に重要なスペースとなったことから舗装工事が行われ、今の広場になったとされています。カンポがあったので、カンポ広場と呼ばれるようになりました。

普段のカンポ広場は何もないすっきりした広場ですが、中世時代の町の市場を再現しようと、毎年12月初旬の2日間、ここでシエナの特産物市が開かれます。ちょうどクリスマス前なので、クリスマス市も兼ねており、イタリア各地からたくさんの人が訪れます。開催日は毎年変わりますので、この市にお越しになりたい方は事前にご確認くださいね。

カンポ広場の基本情報