フェデリコ2世と白亜の城

フェデリコ2世 カステル・デル・モンテ
展示室にあるフリードリヒ2世の肖像画。イタリアではフェデリコ2世と呼ばれることが多い。プーリアは歴史的にこの皇帝と最も深いつながりがあるとされています。

フェデリコ2世にとって特別な城

「石の海」、ドイツの有名な学者はカステル・デル・モンテをこのように表現したそうです。その完璧な8角形の美しい姿、8つの塔をもつ規則的な幾何学模様がもつ躍動感にそんな印象をもったのでしょう。力強さとしなやかさを兼ね備えたような美しい外観と細かい装飾やシンメトリーな均整の取れた内部のつくりに圧倒されます。

カステル・デル・モンテは1229年頃工事が着工され、1240年~50年頃に完成したと言われています。このお城の主は、1194年に誕生し幼くして神聖ローマ帝国ホーエンシュタウヘン朝の皇帝と南イタリアを統治するシチリア王位の座を兼ねて継承したフェデリコ2世(フリードリヒ2世)です。彼は十字軍を出征させる前に拠点をフォッジャ(現在のプーリア州北部の県都)に定め、プーリア各地に建てられていたノルマン時代の城を次々と改造強化したり、数々の宮殿を構えていきました。

その当時の既存の城の構造とくらべると様々な違いが明らかになっています。

  • 兵舎、外郭、お堀などの軍事施設がない
  • 厨房設備や貯蔵室などがない
  • 礼拝堂がない
Castel Del Monte
カステル・デル・モンテの入口は東寄りの八角形の壁にあります。春分と秋分の日のみ、入口の扉に朝日が差すという設計になっているそうです。

逆に13世紀前半の建築技術としては驚異的と注目されたのは、次のような点です。なお、1228年十字軍遠征の際に疫病の流行でフェデリコ2世自身も患ったため、その後衛生学を学び中世ヨーロッパでは珍しい毎日入浴する習慣を身につけたそうです。

  • 水洗トイレがあった
  • 浴場があった
  • 数々の水力施設が備えられていた
Castel Del Monte
これは中庭の地面中心にある排水溝跡ですが、雨水がしたの貯水槽に流れるしくみになっていたそうです。

フェデリコ2世はどんな目的でこのお城を建てたのでしょうか?

つまり、軍事目的でもなく、居住のためでもなかったということです。実際にお城の内部に入ると想像以上に簡素な造りであることに驚かされます。小高い岩山にぽつんと佇む姿からも共通して思い起こされるのは、とても広い意味での「わび・さび」の世界です。

実際のところ、フェデリコ2世はカステル・デル・モンテが彼の趣味の鷹狩りを楽しむのに理想的な場所であることを見出したそうです。また、このお城は彼の客をもてなしたり、別荘としても使われたとも考えられています。こういう理由から当時の城としては非常に稀な存在だったことが改めて分かります。

皇帝は北イタリアの自由都市同盟との戦いを続けていましたが、その決着をみるまでもなく、1250年フォッジャで鷹狩りを楽しんでいる最中に腹痛におそわれて生涯を閉じることになります。彼の死後、カステル・デル・モンテは15世紀半ばアンジュー家に支配権を奪われることで、ホーエンシュタウヘン朝の血統は絶えてしまいます。17世紀以降、この城は要塞、兵舎の役割を果たしてきたものの、城の装飾や調度品などが略奪や破壊の被害を受けながら長い間放置されてしまいます。

1876年荒廃の進んだこの城はイタリア国家の手に渡り、本格的な修復工事が長期にわたり行われた後、1936年国の重要文化財に指定されました。その後ユネスコの世界遺産に登録されたのは前のページにご紹介した通りです。

Castel Del Monte
2つの部屋を繋ぐ出入り口。8角形のお城の角にはそれぞれに8角形の小さな塔があります。城内の移動はどのようにされていたのでしょうか?
Castel Del Monte
ホーエンシュタウヘン朝の神聖ローマ帝国(Sacro Romano Impero)、教皇領(Stato Pontificio)とシチリア王国(Regno di Sicilia)の領土。北イタリアではホーエンシュタウヘン家がイタリア政策を進めたため、教皇派と皇帝派の勢力争いが起こりました。

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スタッフ

イタリア在住者からのアドバイス 

カステル・デル・モンテはイタリアのユーロ硬貨の1セント(0.01ユーロ)にデザインされています。釣銭などで手にした時にはぜひ観察してみてください!ちなみに、5セントはコロッセオ、10セントはボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」、1ユーロはレオナルド・ダ・ヴィンチによる「理想的な人体図」です。 

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