異文化の要素を併せもつ建築
カステル・デル・モンテは、古代ローマ・イスラム・北ヨーロッパの文化的要素を兼ね備えた中世の建造物で他に例をみない最高傑作とされています。これまでのページでは城の主フェデリコ2世、城のいたるところに見られる数字の「8」の謎についてご説明してきました。ここでは数学的にも天文学的にも正確に設計された城を「建築という観点でみていきましょう。
城の外側

城全体は石英を含んだ石灰岩の巨大な化粧ブロックでできており、日光にあたるとキラキラ輝いてより美しく見えます。それぞれの塔の間にある城壁は地面からまっすぐに立っているのに対し、塔には台座があり、上階はゴシック様式の突き出た軒蛇腹のひさしの上に乗せられています。
ほかに城の造りについて明らかにされていることは、八角形の中庭の城壁にある8つの頂点と八角形の塔が完璧なまでにぴたりと対応している点です。
それぞれの部分は以下のようなサイズです。
- 城全体の直径:56m
- 中庭の直径:17,86m
- 中庭の城壁の高さ:20,50m
- 八角形の塔の直径:7,90m
- 八角形の塔の高さ:24m

城の中庭
中庭の地上階には3つの入口、上階には3つの窓があるだけで、ほかの壁は全てふさがっています。中庭の中央には建設時から八角形の大理石のブロックひとつだけで造られた天水おけがあったと考えられています。また、その天水おけの下には雨水を溜めるための大きな水槽と塔の内部にも5つの水槽があったそうです。

城の内側
城の内部は地上階に8部屋と上階(2階)に8部屋あります。台形の形をした部屋は、内側の八角形の頂点と外側の八角形の頂点を結ぶ壁で仕切られています。断面図からも分かるように、当然天井も台形でなければなりません。どのような造りになっているかというと、中央部分に四角形、その両脇に二等辺三角形のアーチをつけることで台形のデザインが生み出されたのです。この天井は壁にはめ込まれた柱によって支えられています。
地上階と上階は螺旋階段でつながっていますが、8つの塔のうち造られているのは2つのみです。反時計回りに44段あるのですが、ここで問題があります。敵陣がこの城を攻めてきたとしたら、左回りに上がる階段では右手に剣をもち有利に戦えます。この点からもカステル・デル・モンテは軍事面が考慮された建造物ではないことが分かります。

城の装飾
残念ながら豪華な城の装飾は長年放置されてきた結果、略奪や破壊行為などによりほとんど全てが姿を消してしまいました。当時の歴史を語る現存する数少ない装飾は、部屋の内部に見られる柱、壁、柱の根元にあるベンチなどに見られます。特に、建物のすべてを覆う石灰岩、白と軽い筋模様の入った大理石とサンゴ色の角礫岩(かくれきがん/角ばった岩石)はチェックポイントです。よく観察してみましょう。
アーモイタリアの現地ツアー、送迎車サービス
南イタリアの「運転手付き専用車」を予約いたします
貸切チャーターの車で、バーリ、マテーラ、アルベロベッロなどを安全に効率よく移動できます。渡航前に予約して現地で安心・快適に旅しましょう。日本人ガイドも同伴可能です。詳しくは「バーリ、マテーラ周辺のタクシー&ハイヤー予約」をご覧ください。


イタリア在住者からのアドバイス
8つの塔全体を外側と内側の階段から観察してみてください!いたるところに小窓が見えます。攻めてくる敵に向かってこの穴から弓矢を射る、というのが城での一般的な攻撃方法だと思いますが、ここでは幅が狭すぎるので不向きという説があります。確かに近寄ってみると、人が入りこめるスペースはなく、入口から距離もあるので、納得がいきます。イタリア在住:アーモスタッフ スタッフ一覧