エミリア・ロマーニャ州の特産チーズ
日本ではパルメザンチーズとして有名なパルミジャーノ・レッジャーノ。イタリアはエミリア・ロマーニャ州の狭い地域で作られ、厳しい検査に合格したチーズだけがこの名前を名乗ることができます。
生産指定地域は、パルマ~レッジョ・エミリア~モデナ(~マントヴァの一部)に限られていて、これ以外の地域で作るものは「グラナ・パダーノ」と呼ばれます。(下記参照)
イタリアのスーパーでもたくさんの種類のパルミジャーノがありますが、エミリア・ロマーニャ州に来たら是非行ってほしいのが、パルミジャーノ工場の直売所。そこで作っているパルミジャーノをその場でカットして、真空パックにしてくれます。工場によってお値段は少し差がありますが、スーパーで買うより新鮮なものをさらに安く買うことができます。
真空パックのまま冷蔵庫に入れておけば6ヶ月もちますので、お土産に是非買ってみてくださいね。(真空パックを開けたら風味がどんどん落ちていきますので、1ヶ月以内には食べきるようにしてください)
細かく決められている製造過程
パルミジャーノは、パルミジャーノ協会によって厳しく品質管理が行われています。牛の餌から作り方、熟成方法まで細かく決められており、幾度と行われる検査に合格したものだけがパルミジャーノとして認められます。パルミジャーノの製造過程は細かく決められており、添加物は一切入りません。
【パルミジャーノ製造行程】
- 前日の夕方に届いた牛乳はステンレスのパッドに入れて一晩置き、分離した脂肪分を取り除く(この脂肪分はバター作りやマスカルポーネに使われます)
- 当日の朝に届いた牛乳は、脂肪分の入ったまま使います。それぞれの牛乳を深さ2mほどの銅釜に入れ、前日の上澄み液、天然の酵素剤を入れて加熱していきます。
- 牛乳の成分が表面に固まったら、今度はそれを細かく砕いていきます。(初めはスピーナと呼ばれる道具で、その後は機械で米粒より細かくなるまで砕いていきます)
- 細かく砕いたものを銅釜の底で30分ほど休ませたら、木べらで掬い上げ、麻の布にくるんで水分を切ります。
- 大きな包丁のようなもので2つにカットしたら、1つずつ亜麻布に包み直し、さらに水分を切ります。
- 亜麻布に包んだままプラスチックの型に入れ、上から重石を乗せ、その日の夜まで4時間後とぐらいにひっくり返しながら水分を切っていきます。
- その日の夜には、もう一度プラスチックの方に入れ直します。(この時、内側にプラスチックの板を入れ、チーズの外側に「パルミジャーノ・レッジャーノ」の名前の型を付けます)
- 翌日に、今度はステンレスの型に入れ直します。
- 翌日になると形が出来上がっているので、海塩を溶かした水に入れ、時々ひっくり返しながら3週間置いておきます。
- その後は、貯蔵庫に入れ、熟成させていきます。
熟成させるほどボソボソとした食感に
パルミジャーノの熟成期間は最低でも12ヶ月と決められているので、12ヶ月経つと検査があります。検査に合格すると「パルミジャーノ・レッジャーノParmigiano Reggiano」の刻印が押され、パルミジャーノと名乗ることができます。
チーズはそのまま売りに出されるものと、もう少し熟成させるものに分けられます。イタリアでの一般的な熟成期間は、24~27ヶ月ほどです。熟成期間によって、その食感もだいぶ違ってきます。12ヶ月頃のパルミジャーノは、しっとりとしていて日本のプロセスチーズに近い食感です。24ヶ月頃になると、少しボソボソした食感になり、表面には白い物々が出てきます。これはアミノ酸が結晶になったもので、うまみ成分が詰まっています。噛むとカリッとした食感がとてもおいしいのです。
熟成期間が長くなればなるほど、このアミノ酸の結晶が増え、ボソボソした食感になっていきます。工場の直売所では、12~13ヶ月、24~27ヶ月、30~35ヶ月のものを売っていることが多いです。イタリア、特にエミリア・ロマーニャ州ではよくパスタにパルミジャーノを使うのですが、削って食べるのは12~13ヶ月のもの、そのまま小さな塊で食べるのは24~27ヶ月のものを好んで使います。
パルミジャーノの双子チーズ「グラナ・パダーノ」
パルミジャーノに形も味も似たチーズに、「グラナ・パダーノGrana Padano」というチーズがありますが、これはパルミジャーノ指定地域以外で作られたもの。
パルミジャーノは1日に1度だけ作られるのですが、グラナは1日に2度作られています。パルミジャーノが脱脂乳(前の日の夕方に届いた牛乳から脂肪分を取り除いたもの)を半分使うのに対し、グラナは牛乳をそのまま使うので1日で2度作ることができるのです。その他の行程は、どちらも同じです。値段はパルミジャーノよりも安いので、イタリアではパスタなどにはグラナを使う人も多いです。
生ハム・チーズ工場のグルメ・ツアー
現地日本人の案内と専用車で、パルミジャーノ・チーズ工場や、高級バルサミコ酢の製造所などを巡ります。美味しいレストランにもご案内可能で、食に興味ある方なら大満足のツアーです。完全個人ツアーですので、1名様からお好きなコース・時間で開催可能です。他にもサンマリノ共和国や、フェラーリ博物館なども組み合わせ可能です。ツアーの詳細はこちら 『ボローニャ・モデナ発のグルメツアー』
ボローニャ在住:星畑 聡子 スタッフ一覧