クラテッロとは
日本ではすっかり有名になった「パルマの生ハム」。
熱を通さず生のまま熟成させて作る生のハムです。「パルマの生ハム」の産地は、パルマから南へ10kmほどの丘の上にある「ランギラーノ」という小さな町。ここには、生ハム博物館もあります。
一方、クラテッロの産地は、パルマの北を流れるイタリア一大きな川「ポー川」流域になります。ポー川流域にはクラテッロの産地として指定されている8つの村があり、その中でも最も有名なのが「ジベッロ村」。日本では、「Culatello di Zibello(ジベッロ村のクラテッロ)」という名前で知られています。ポー川流域はイタリアの中でも湿度の高い地域で、毎年霧が発生する日が多くあります。この湿度が、しっとりとしたおいしいクラテッロを作り上げるのです。
クラテッロの製造工程
通常の生ハムが豚の足先から太ももの肉を使うのに対して、クラテッロは豚のお尻の部分の肉を使います。肉に塩コショウをして冷蔵庫で寝かせ、コショウを取り除いたら豚の膀胱に入れて、上から紐で縛っていきます。形を整えながら、手作業で蜂の巣状に縛っていきます。
その後、ゆっくりと乾燥させたら、今度は貯蔵庫に入れて熟成させていきます。貯蔵庫に入れて約12ヶ月で検査があり、合格すると本物のクラテッロとしてのラベルを貼ってもらえます。
一つ一つ食べ頃を見極める
同じ日に作ったクラテッロでも、食べ頃は一つ一つ違います。食べ頃になると、作り手は一つ一つ木槌でたたいて音を確認します。いいクラテッロは、たたくと硬い石のような音がしますが、製造過程で虫などが入ってしまい中に空洞がある場合は軽いレンガをたたいた様な音がします。この様なクラテッロは、売り物にはならないので廃棄処分となります。
クラテッロを食す
エミリア・ロマーニャ州に来たら、是非食べてもらいたいのがクラテッロ。パルマの食材屋さんやレストランでも食べることができますが、工場直営のレストランやクラテッロを作っているアグリツーリズモで食べるクラテッロは格別です。
また、お値段も他のレストランで食べるよりも安いので、「クラテッロを堪能したい!」という方にはピッタリです。エミリア・ロマーニャ州に来たら、是非本物のクラテッロを食べてみてくださいね!
クラテッロ工場見学ツアーも開催しています。
産地によって塩気が変わる?
イタリアでは、パルマ以外にも生ハムの産地がありますが、生ハムの塩気と産地は密接な関係があります。
フィレンツェのあるトスカーナ州の海に近い地域でも生ハムを作っていますが、海からの潮風が届くためとても塩辛い生ハムになります。一方、トスカーナ州からアペニン山脈を越えたところにあるランギラーノの生ハムは、山によって潮風が遮られるので少し塩気の少ない生ハムになります。ランギラーノよりもさらに北の海からは遠い地域で作られるクラテッロは、パルマの生ハムより塩気の少ない生ハムになります。
そして、北イタリアの山の中で作られる「サンダニエレ」という生ハムは、さらに塩気が少なく甘味の強い生ハムになります。産地によって変化する生ハムの塩気。いろいろな所で食べ比べてみるとおもしろいかもしれませんね。
生ハム・チーズ工場のグルメ・ツアー
現地日本人の案内と専用車で、パルミジャーノ・チーズ工場や、高級バルサミコ酢の製造所などを巡ります。美味しいレストランにもご案内可能で、食に興味ある方なら大満足のツアーです。完全個人ツアーですので、1名様からお好きなコース・時間で開催可能です。他にもサンマリノ共和国や、フェラーリ博物館なども組み合わせ可能です。ツアーの詳細はこちら 『ボローニャ・モデナ発のグルメツアー』
パルマ・モデナ担当:星畑 聡子 スタッフ一覧