イタリアのもっとも美しい町:パニカーレ(Panicale)
パニカーレ(Panicale)は、イタリア中部ウンブリア州、ペルージャ県にある人口約57,000人ほどの小さな村です。ペルージャ(Perugia)の南西約25キロ、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno イタリアで4番目の大きさ)を囲む丘の上に位置しています。
歴史的にも政治的にもペルージャとはとても関係が深く、町の紋章も左側がペルージャのシンボルであるグリフォン(鷲の上半身とライオンの下半身をもつ伝説上の動物)で、左側には教皇派ゲルフの塔が描かれています。
外国人には人気の別荘地
ウンブリア州の州都ペルージャから車で約1時間弱にあるパニカーレは交通の便がとても悪い。だからこそ美しい街並みと自然が現代にも残っているのでしょう。この町から見下ろせるトラジメーノ湖とその丘陵風景は美しく、このあたりにはアメリカ人やドイツ人などが別荘を多く持っています。
ペルージャからはバスが運行していますが、一日に1、2便と少なく、日帰りするのが困難です。パニカーレのホテルに宿泊するか片道タクシーを利用するしかないようです。ペルージャまでのタクシー料金は片道約40ユーロです。
あのマゾリーノはパニカーレ出身
マゾリーノ・ダ・パニカーレはその名の通りパニカーレ出身。15世紀初頭に国際ゴシックとルネサンスの間で活躍した画家です。マザッチョとともにフィレンツェのブランカッチ礼拝堂(サンタマリア・デル・カルミネ教会)のフレスコ画を残しました。パニカーレを訪れたら、ぜひフィレンツェのブランカッチ礼拝堂も見学して、彼の偉業と才能に感動して欲しいと思います。
チュールレースの町
パニカーレは伝統的な刺繍である「チュールレース」も有名で、町のインフォメーション・センターに行ってもレース作品が飾ってあるほどです。チュールレースは六角形の薄い網状の布地を下絵を描いた紙に縫い付け、薄い布地がよれないように微妙な力加減で作品を仕上げていきます。ブライダル用ベールやドレス、バレエ・コスチュームにも利用されます。
2009年5月にはBS日テレの「小さな村の物語」でパニカーレが紹介され、チュールレースの講師をしているパオラさんも登場しました。彼女は週に一回ほど伝統レースを教えていて、希望の場合は毎日でもレッスン可能とのこと。一度直接お会いしましたが、穏やかでとてもしっかりした方でした。彼女の家にはレースを使ったランプシェードや洋服など、美しい作品が並んでいました。
中世の街並みが残った美しい街並み
町の入り口にあたるペルジーナ門(Porta Perugina)をくぐるとパニカーレの町に到着です。中世の面影を良く残した街並みは迷路のように複雑で、のんびり歩くのが楽しくなってきます。町は城壁に囲まれていて、タイムスリップしたような感覚になります。バールもレストランもホテルもあるので、のんびり滞在するのも良いでしょう。
パニカーレ市のホームページ:https://www.comune.panicale.pg.it/
美しい町=パニカーレ
「イタリアの最も美しい町」とも呼ばれるパニカーレ。行くまでは小さい村を想像していたのですが、中世の町並が残る美しい町でした。観光インフォメーションも町の入り口にあり、観光ガイドも開催しているようです。チュールレース刺繍のパオラさんの教室を探していたら、警察官がわざわざ電話で確認してくれた上に、地図をプリントアウトしてくれました。時間があったらゆっくりと滞在したい町でした。
イタリア在住:堂 剛 スタッフ一覧