住人は20名足らずの「死にゆく町=チビタ」
オルヴィエート近郊、ウンブリア州とラツィオ州の州境に小さいながらも有名な町があります、それがチビタ・ディ・バニョレッジョ(Cvita di Bagnoregio)。今から2500年以上前にエトルリア人によってつくられたこの町を始めて見た人たちは、その変わった風貌にきっと息をのむことでしょう。天空の城を思い描くひとも多いようです。風や雨によって浸食した土地は「陸の孤島」となり、細く長い橋を渡ってしか町にたどり着くことができません。この町は別名「死に行く町」「滅び行く町」と云われ、町の入り口の道路標識にもイタリア語で「il paese che muore(死に行く町)」としっかり書いてあります。
町への入り口は300メートルの橋のみ
今もなお雨や風によって浸食が進んでおり、本当に死んでしまうのも時間の問題といわれています。町へ入るには300メートル以上の橋を延々と歩いて行かなければならず、不便さからも町中には数家族しか住んでいません。40年前にはこの橋をロバで食料や生活用品を運んでいて、今はオートバイがロバのかわりを果たしています。町には中世の建築物が多く残っていて、町の中心広場の聖ドナート教会、司教宮殿、1500年代の粉ひき場、2匹のライオンが前足をかけるサンタマリア城門などがあります。
町はとても小さく、まるで1つの住居のよう・・・
町の中にはまっすぐメイン通りが走っていて、両脇の小道はいずれも住居への入り口となっています。本当にタイムスリップしたような町は、懐かしいたたずまいで、どのアングルも写真になります。一番奥まで行くと「カランキ calanchi」と呼ばれる凝灰岩の渓谷が不気味な岩肌を見せています。これは長い長い歴史の中で、雨風によって浸食された跡と言われています。
町の中は綺麗に整備されていますが、旅行者以外に人影も少なく、やはりもの悲しい雰囲気が漂っているのです。
でも、最近はレストランや宿泊施設もオープンして、旅行者も徐々に増えてきています。もし興味のある人は1泊、死にゆく町に泊まってみるのも良いかも知れないですね。
チビタの焼きたてブルスケッタ、ソーセージは素朴なグルメ料理
チビタの名産は「オリーブ・オイル」。有名なイタリア産オリーブオイルの中でも近年、ウンブリア州のオリーブオイルがトスカーナ州産を超えてイタリアで最も美味しいと言われています。ここチビタ周辺もオリーブ栽培に最適な土地が広がっており、少量で貴重なオリーブオイルが製造されています。町中にはレストランが2軒あり、どちらも暖炉の火で焼くブルスケッタ、サルシッチャ(ソーセージ)、ビステーカ(ステーキ)が名物。地元のエキストラ・バージンのオリーブオイルをたっぷりかけて食べると芳醇な香りが口一杯に広がり、贅沢な一品を味わうことができます。
チビタへの道は緑が広がる美しい放牧台地
チビタ・ディ・バニョレッジョに行くのはオルヴィエートから出発するのが一番便利。チビタまで唯一のバスが1~2時間に1本出ていますし、レンタカーで行っても楽しいです。道は羊や牛が放牧されているのどかな山間部を走り、真っ青な空と中部イタリアの美しい緑が果てしなく広がる景色は、それだけで旅情を感じさせます。しかもこの区間はチーズの名産地で、道ばたには家族経営の「チーズ農家」の看板がいくつもあります。できたてのフレッシュチーズを食べられるのはイタリア旅行の醍醐味の一つですよ。
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