ドイツ語を話す町、ボルツァーノ
フィレンツェから北に約3時間。9時35分発のユーロスターに乗って、13時前に到着したのがボルツァーノ。東アルプスのドロミテ麓に位置し、イタリア最北端の町の1つです。北へ80キロ行けばオーストリアで、さらに北上するとすぐドイツ国内です。
ボルツァーノは1918年までオーストリア領だったこともあり、イタリア語とドイツ語の2カ国語が公用語になっています。駅名もボルツァーノ・ボーゼン(Bolzano Bozen)と、イタリア語とドイツ語の併記、市内は銀行の看板も、香水の広告も、交通標識すら2カ国語で書かれています。地元の人もイタリア語とドイツ語を話せるバイリンガルばかり。学校ではイタリア語、家庭ではドイツ語を話す子どもも多いのだとか。
ここはドイツ?街並みもイタリアの風景とはひと味違う!
ボルツァーノの町は「美しい」です。イタリアは道ばたに吸い殻やゴミが散らばっているイメージが多いですが(実際にローマやフィレンツェなどはポイ捨て多いです)、この町はまるで異国・別世界。道は綺麗に整備されていて、ゴミ1つ落ちていません。車のクラクションも聞こえませんし、空気も澄んでいて多くのイタリア人も保養に訪れます。
夏は暑いので注意しましょう。
夏のボルツァーノはフィレンツェと並び、イタリアで最も暑い街の1つとして知られています。盆地のせいでシチリアよりも暑くなる日があります。夏訪れる人はぜひドロミテ(アルプスの一部)の町に滞在しましょう。一方、冬はとても寒く雪も降りますが、地元の人曰く「湿度は低くて過ごしやすい」そうですよ。
チロル料理を堪能しましょう。
ボルツァーノのあるドロミテ一帯はチロル地方と呼ばれ、独自の文化を築いています。チロル郷土料理もその1つで、まるでアニメのハイジも食べていそうなチーズ、ハム、ソーセージを使った素朴な料理がとても美味しいです。季節によってはアスパラ、キノコ、ジビエ肉(鹿、猪、兎、キジ)なども登場します。もちろんパスタなどのイタリア料理もあるので、レパートリーが豊富でお得な気分です。
地ビールが最高!
あとビールも忘れてはなりません。市内には山小屋風のビール酒場もあって、地ビールが一年中楽しめます。少し濁った色とフルーティな甘い香りは、ビールが苦手な人でも「美味しい!」と唸ってしまうでしょう。あとぜひ試して欲しいのが、ビールのレモネード割り「ラードラー Radler」。ビールとレモネードを半々で割ったお酒は、ほんのり甘くて、スッキリとした飲みごし。ちょっと病みつきになる美味しさです。アルコールに弱い人にも良いかもね。
ボルツァーノから近郊都市もぜひ訪れて!
ボルツァーノからロープウェーで行く山の上の町ソプラボルツァーノ。そしてそこからレノン鉄道で行くコッラルボ(Collalbo)は最高の散策コースです。ロープウェーからの眺めも楽しいですし、鉄道マニアの人も集まる歴史ある電気鉄道です。
そしてボルツァーノから電車で北に40分行くと、温泉も湧く保養地メラーノ(Merano)に行けます。さらにそこからリフトに揺られるとその名もズバリ、チロル村(イタリア語名Tirolo)に到着します。
コッラルボもチロル村もボルツァーノから半日で楽しめます。どちらもとても魅力的な町なのでぜひ訪れてみてください。
美しい町と美味しいビール
ボルツァーノはイタリアではないです。その町の美しさ、人の優しさや距離感、礼儀正しさなど、中部・南部イタリアとはまったく別ものでした。ドイツ語を話す人が多く、到着した時点で異文化が広がり大興奮、ビールも料理も美味しくて2泊3日の旅は大盛り上がりでした。小さいと思っていたメラーノの町は想像以上に大きく、観光客に溢れていました。お店も多くて、ウインドウショッピングもなかなか楽しかったです。
イタリア在住:堂 剛 スタッフ一覧